水沢山頂上から。手前に子持山、奥に武尊山、燧ヶ岳、至仏山。 右奥は日光白根山。 |
一昨昨日(2013年5月8日)の水沢山にはカモシカが出没したらしい。
モデルのような脚線美を「カモシカのような足」などと礼賛するように、カモシカといえばほっそりしたしなやかで凛々しい姿を想像するが、水沢山に出没したカモシカはちょっと太めだったそうで、目撃した父の話では後ろ姿を見た瞬間「く、熊が出た!」と思ったそうだ。
登山道で会いたくない動物といえば熊かイノシシと相場は決まっている。
カモシカ遭遇の話を聞いた蚤の心臓の私はそこに新たに「太めのカモシカ」も加えたくなった。
目標。13時半に水沢うどんを食べる
水沢山の標高は1194m。
コースタイムは登り2時間、下り1時間半、トータルでおよそ3時間半が目安だ。
午前10時前に登山をスタートすれば13時半には水沢うどんにありつける。
そう計算して身支度を整えた。
先日、黒檜山(赤城山の主峰)に登ろうと赤城大沼へ行ったところ、気温5度に赤城おろしが吹きすさび、なす術なく撤退した失敗を踏まえてウィンドブレーカーとレインウェアも装備した。
命の水であるペットボトルのお茶も持参。
これは前々回、水沢山の別ルートである西登山口から登って失敗したときに、水は絶対に必要だと認識したからだ。
西登山口から登って登頂しなかったのは山頂付近の小さなピークを越えるときに妙なぬくもりを感じる一帯があり「もしかして獰猛な獣がそばにいるのでは…」という疑念が湧き上がり、慌てて一目散で下山したためだ。
今思えば水沢山は伊香保温泉も近いのであのぬくもりは地熱か何かだと思うのだが、あの時は泡を食って逃げてしまった。
(詳しくは「水沢山登山、裏ルート編」で)
そして道中の車内にてハンドタオルを忘れたことに気づく。寒いくらいなので汗の心配は大丈夫だろうと高を括る。
10時ジャストに水澤観音寺に到着。
10時ちょうどに水沢観音寺の無料駐車場に到着。広大な駐車場に大型観光バスが何台も入ってくる光景に驚く。
ゴールデンウイークが終わってすぐだというのに今日もそれなりに賑わうな。
そう思うと地元民としてはなんだかうれしい。
外に出ると空気は澄み渡っているが風が強く、土埃が舞っている。そのせいか鼻水がたくさん出る。そしてティッシュの類も忘れていることに気がつく。
仕方がないので水沢観音寺のトイレでトイレットペーパーを三かみ回分くらい拝借した。
水沢山は山頂ほか登山道の休憩スペースにトイレがない小さな山なので、用を足すならこのトイレで済ませておくべきだ。自販機もあるのでお茶やスポーツドリンク類を忘れた人はここで買うことをおすすめする。
洋式の有無は急いでいたので未確認。あとからググってもよくわからず。
外に出ると空気は澄み渡っているが風が強く、土埃が舞っている。そのせいか鼻水がたくさん出る。そしてティッシュの類も忘れていることに気がつく。
仕方がないので水沢観音寺のトイレでトイレットペーパーを三かみ回分くらい拝借した。
水沢山は山頂ほか登山道の休憩スペースにトイレがない小さな山なので、用を足すならこのトイレで済ませておくべきだ。自販機もあるのでお茶やスポーツドリンク類を忘れた人はここで買うことをおすすめする。
洋式の有無は急いでいたので未確認。あとからググってもよくわからず。
10:09
拝観開始時間は午前8時からだが参拝客の姿はまだまばらだ。売店や野菜売りの人々ものんびりムードだった。
10時10分、水沢山登山スタート
水沢観音寺脇の登山口。 ここから山頂までは4km120分なのでお手軽感がある。 船尾滝までは45分。 |
10:10
船尾滝遊歩道の矢印(「群馬最大の名瀑」は本当か?船尾滝ハイキング)
撮影時間を見ると、登山開始は10時10分ごろ。タイムスタンプは全て写真のデータから拾った。
この時点でまだ腕時計とコンパスを忘れたことに気がついていない。
時計はスマホがあるのでなんとかなるとしても、今回は異様なほど忘れ物が多かった。
これは近所の小高い山という気安さからくる気の緩みのせいだろうか。
今後は気をつけたい。
飯縄大権現へ続く急な石段。前にいるのは父。 |
10:11
境内を抜け、飯綱大権現へ登る急な石段から登山はスタートする。
父の後ろ姿を見上げる。
唐突に THE WHO のロックオペラ「Tommy」最後の曲「We're Not Gonna Take It」の歌詞を思い出す。
Following you I climb the mountain...
You とは Tommy の父のことだ。
「あなたの後をついて僕はこの山を登るのだ」的な歌詞だ。
Tommy が三重苦となった原因は、戦時中不在だった実父が母の間男に殺される場面を…
それはともかく、こののどかな場面にロックオペラは似合わない。
私と父の間に Tommy ほどのドラマは存在しないのだから。
飯縄大権現。登山中この鐘の音を何度も聴いた。 |
10:13
飯縄大権現。ここで登山の無事を祈る登山客も多い。
登り時は余裕なく通りすぎてしまったが、帰りは手を合わせて無事に下山できたことを報告した。
10:15
東屋。家族連れならばここにとどまってピクニックを楽しむのもいいかもしれない。
10:16(本当は帰り道で撮影)
東屋から。赤い山ツツジの向こうに見えるのは万葉歌碑。
10:16
万葉歌碑。この辺一帯は万葉植物苑と呼ばれているようだ。
10:19
林道の中にはこのような道しるべが所々にある。
この辺りで少々暑くなってきたのでウインドブレーカーの上に羽織っていたレインウェアを仕舞った。
10年ぶりに旧友と登山道で偶然再会、のきざし
10:21
登山口の道しるべとともに「熊出没注意」の看板あり。
以前、西登山口で同様の看板を見たことがあるのでとくに驚かない。
この地点で登山ツイートでも一つ。と思いつきスマホで Twitter を立ち上げると、東京在住で同郷の友人の気になるツイートを発見する。
友人といってもかれこれ10年は会っていないのだが、彼も山の写真を Instagram にアップしていたのだ。
一枚目は急激な登りの石段の写真、二枚目は「熊出没注意」の看板、そして三枚目はちょいガレな岩場の写真。
熊看板まではほとんど似たシチュエーションだが、水沢山にガレ場などないだろうと思い込み、「私も登山なう。奇遇だけど違う山かもね」などとリプライした。
10:39
10:40
ちょっとした休憩スペース。
ここから1.35km。まだ半分も登っていないのにだいぶ息が上がっていた。
お休み石。山頂まではまだあと1km。帰り道に撮影したためタイムは不明。
身体が充分温まってきたのでウインドブレーカーも仕舞い、長袖Tシャツ一枚になる。
ここを過ぎると友人撮影の写真にあったガレ場が登山道に出現した。
もしや同じ山に登っているのでは?と思い始める。
友人のリプライを確認すると、はっきり「水沢山」と書いている。
もう10年以上会っていない友人とおよそ10分違いで同じ山に登るとは、なんたる偶然!
とTwitter上で共通の友人とともに驚く。
(この共通の友人とも5年は会っていない)
以降、行き違う人々の顔をまじまじと見ては「あ、友だちじゃなかった」「だいぶご年配の方だった」「皆さんお元気そうで…」などと感慨にふけった。
今振り返ってみると、見知らぬ方々の顔をまじまじと見て申し訳ない気持ちがないでもない。
大変失礼いたしました。
東肩から山頂の間で再会を果たす
11:33
バテ気味の父を時々待機しつつ、友人と再会した場合そこに父がいるのも気まずいな…という思いもあり、先行して東肩石像前に到着。
全く「Following you(←父) I climb the mountain」になっていない。
里山的な登山とはいえ、同行者を差しおいて先行してしまうのは山岳パーティーの隊員として本当はあまりやってはいけない行いである。
東肩から山頂までは400mあまり。最初こそなだらかだが意外にキツイ箇所もある。
時折吹きつける颪(おろし)におののく。
おそらく11時40〜45分ごろ、これといった道しるべもない道の途中で下山する友人と再会を果たす。
まずお互い顔を指さしあって爆笑し、父が追いつくのを気にしつつ立ち話に花が咲いた。
今度は東京で、ゆっくり座って話そうね、○○(共通の友人)もついでに呼んでさ。などと約束して別れた。
11:50
正午前に山頂に到着。
山頂には山座方位盤があった。この方位盤のおかげでどこにどの山があるか一目瞭然だ。
ここでようやく父と落ち合う。カモシカを至近距離で見たとのこと。
目が合ってもジーっと見つめてきてしばらく動かないので、休憩も兼ねて2、3分は眺めていたらしい。
八ヶ岳方面の中央にかすかに見えるのは白い富士山 |
12:00
水沢山山頂からは私の憧れの山、武尊山、燧ヶ岳、至仏山、そして昨夏に登った谷川岳なども一望できる。
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八ヶ岳方面には小さいながらも雪を被った富士山が見えた。
この日の空気は澄み渡っていた。最高の天気の日を待った甲斐があった。
12:00
ソフトバンク榛東ソーラーパーク。メガソーラー発電所だ。発電した電気は県民に使われているのだろうか。
帰り道。東肩にて。
登りではほとんど余裕なく通りすぎてしまったので、ちょっと手を合わせ拝んでみる。
「無事、下山できますように」
13:11
お休み石かベンチのある休憩スペースのどちらかのそばにあった石碑。
かすかに「弘法大師」という文字が刻まれている。
13:37
スタート地点の石段に到着。
この時になってようやく腕時計とコンパスを忘れていたことに気づく
13:38
風が強く、よく晴れていたので土埃の汚れと汗の汚れが気になりはじめた。
そして「タオルがあれば温泉に行けたのに」と嘆くことになる。
13:42
「あの山に登って、そして降りてきたのだなあ」としみじみする時間。
13時45分、念願のうどんタイム
13:45
登りでは「富士山が見えるといいなあ」「友だちと再会できるかなあ」ということばかり考え、下りでは「早くうどんを食べるのだ」ということばかり考えていた。
13時45分にようやく田丸屋で水沢うどんにありついた。目標は13時半だったがほぼ達成したと言っていいと思う。
いつもはこのざる並盛と天ぷら三点セットで満腹になるのだが、この日はなんだか物足りなかった。
登山後は大盛りにすべし、だ。
そしてこの日は20時に就寝した。翌日からは筋肉痛との戦い。今日もまだ筋肉痛。
コースタイム(3時間27分)
- 10:10 登山口(水沢観音寺・石段)
- 10:16 万葉歌碑・万葉植物苑
- 10:21 熊出没注意看板
- 10:40 休憩スペース
- 10:46 お休み石
- 11:33 東肩石像群
- 11:40〜45 旧友と立ち話
- 11:50〜12:10 山頂
- 12:24 東肩石像群
- 13:12 休憩スペース
- 13:30 万葉歌碑・万葉植物苑
- 13:37 登山口(水沢観音寺・石段)
- 13:45 水沢うどん田丸屋
今回のアルバム
Tommy (Super Deluxe Edition) - ザ・フー
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