2013年5月15日水曜日

水沢山登山、裏ルート編

4月某日。
群馬北部に今春最後と思われる雪が降った数日前のある日。

桜満開のグリーン牧場から見た、あの日の水沢山。



父「水沢山へ登るのには裏ルートともいえる西登山口から登った方が断然楽だ」
私「どれくらいで登れるのだ」
父「3、40分あれば登頂可能だ。水沢観音寺からだと標高差およそ500mだが、西登山口からなら200mくらいだろう」
私「ならば行こう」
父「今日はまだ寒い。そしてそんな気分ではない。下見としてならば付き合おう」
私「とにかく行こう」
父「うむ」
(正確な標高差は不明である)


12時18分。水沢山から西登山口への下山途中にて。

父「カーナビに『榛名カントリー』を設定せよ」
私「うむ。…『榛名の森カントリークラブ』しかないぞ」
父「ほう…」



「榛名の森カントリークラブ」の位置と水沢山(別名浅間山(せんげんやま))がだいぶ離れているため、とりあえず父の土地勘のみで発車する。





11時29分。船尾瀧(滝)周辺の案内図前。


船尾滝周辺のどこかで
船尾瀧(滝)周辺の展望の森付近にあった案内図。
父が指差しているのは榛名湖。

父「なるほど」
私「何がだ」
父「…寒いな」
私「同感」


「群馬最大の名瀑」は本当か?船尾滝ハイキング

11時33分。展望の森入口。


展望の森へ


私「展望の森か。何か見どころがあるかもしれない。行ってくる」
父「寒い」

戻ってきて、

父「何かあったか?」
私「特に何も」



11時36分。ソフトバンク榛東ソーラーパーク。

 

元榛名カントリークラブ、現ソフトバンク榛東ソーラーパーク


 
父「なるほど、探してもないはずだ。榛名カントリーがこれ(ソフトバンク榛東ソーラーパーク)になったのか」
私「うむ。確かに脇の看板には文字を消した跡が残っている」


11時47分。西登山口。

 

水沢山登山のマイナールート、西登山口。伊香保森林公園からつつじが峰経由でこちらに来る登山客もいるとか。




父「あった!西登山口があったぞ!!」
私「うむ。非常にわかりづらかった」
父「今日は下見だ。帰るぞ」
私「ちょっと行ってくる」
父「…何だと⁉」


小さな駐車スペースには先客の車が一台あった。
しかし道中では誰一人会うことはなかった。



私「水沢山山頂まで1kmか。よし、1時間で戻ってくる」
「うむ」
私「では行こう」
父「行ってこい」
私「いや、一人では行かない」
母「二人とも行ってらっしゃい」
父「ぐぬぬ…」



11時58分。登山道の途中。



12時8分。西肩の電波塔に到着。

 

電波塔。ここまで来ればあと少し。のはずだった。


私「これが電波塔か。急激な登りだったがここまで来ればあとは楽勝だな」
父「おらぁもう気がすんだ。さみぃ(寒い)し、けえる(帰る)」
私「エェェ!!(゚д゚)!」

ここからはあまり急な登りはないものの、ヤセ尾根が続くためそれなりの慎重さが必要となる。
車内に母を待たせているので少々の焦りがあった。
また父が下りで足を滑らせていないか多少気になっていた。
それでも慎重に尾根を歩く。


もしや熊なのか?


山頂まで残りわずかになった尾根の途中、小さな塚をまたごうとした時だった。
何か、そこ一帯の地面から熱っぽさを感じるのだ。
この日は気温はおそらく10度前後ぐらいで風もありレインウェアの上着を着ていても寒いくらいだった。
なのにその小さな塚一帯は熱を発していて、暖が取れるほどだった。
塚を通りすぎてから間もなく、妙な胸騒ぎがしたので歩みを止め、その場で思考を巡らせた。

「今のはなんだ?」
「気のせいか?」
「地熱か?」
「噴火の前兆か?」
「いや……もしや……」
「獣(けもの)?」
「そういえば『熊(クマ)注意』の看板が登山口に…」
「く……熊が……いたのか???」
「一回戻ってみよう。一回戻ってみよう。勘違いかもしれない」

「今さっきまでそこに大きな熊がいたのでは」という考えが頭から離れなくなり、今来た道を戻り、もう一度その熱い小さな塚を乗り越えた。
するとやはり勘違いではなく、確かにその一帯だけが熱かった。
疑念が確信に変わると、急ぎ足で、可能な場合は走って、逃げるように下山した。
途中熊が追いかけて来ていないか何度も振り返りながら。

結局登り下りともに熊はもちろん、他の登山客の誰一人にも会うことはなかった。
急な砂利道が多く、下りでは何度か滑りそうになった。水澤観音寺からの正規ルートと整備のされ具合を比べると、やはりこちらは裏ルート的な趣きがあった。



オンマ谷、二ッ岳、つつじが峰、展望台、そして無念の水沢山…

私「というわけなのだ」
父「(笑)」
「(笑)」
私「よく冷静になって考えてみれば、伊香保温泉も近いし地熱の説が濃厚だと思う。しかしあの時は……」
父「帰ろう」
私「あ、ちょっと待ってほしい。展望台があるようだ」


12時半。つつじが峰展望台より。


つつじが峰近くの展望台より。
案内板の劣化がひどく文字が驚くほど見づらい。前方には黒檜山、地蔵岳、長七郎山などの赤城連峰が見渡せた(黒檜山・駒ヶ岳登山レコード)。
遠くに見える谷川岳、武尊山などの雪解けも間近か。そう思っていたが、この数日後に今春最後と思われる雪が降ることになる。


走り屋防止のための凸凹道


頭文字D効果もあり走り屋が集う道となった伊香保榛名の山道。
今は走り屋防止のためカーブを凸凹させてわざと走りにくくしているのだ。


高根展望台から。山頂の右に見えるのが電波塔。


高根展望台からうらめしく水沢山を眺める。尾根の右に見えるのが電波塔だ。
「近いうちに必ずリベンジを」という思いを胸に、この日は上州物産館へ水沢うどんを食べに向かう。
というわけで前回の旅日記「〆はうどんの水沢山登山レコード」へ…


おまけ。

水沢山山頂から見えた榛名山方面の写真を一枚。
真ん中の少し頭が平べったいのが榛名富士だと思われる。

水沢山から見える榛名山方面

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