2014年6月13日金曜日

[積雪期登山レコ]日光白根山で初アイゼン

ついにアイゼンデビューしてしまった。

日光白根山山頂からの男体山と五色沼 


初めて日光白根山へ行ったときのブログ(日光白根山に乾杯した日-「天空の足湯」もあるよ)には、

「軽アイゼンが必要とのことなので登山初心者の私にはまだ早いだろう」

と書いていたが、まさかこの日光白根山でアイゼンを履いて登山するとは思いもしなかった。

■丸沼高原〜白根山登山のコースタイム

登り:史跡散策コース一周(少し迷う)→弥陀ヶ池ルート→山頂
下り:山頂→白根山ルート→丸沼高原山頂駅

8:52 丸沼高原山頂駅 〜二荒山神社〜展望台
9:53 六地蔵〜血の池地獄横断〜大日如来
11:00 七色平避難小屋・昼食
12:28 弥陀ヶ池(弥陀ヶ池ルート)
14:00 白根山山頂・休憩 〜(白根山ルート)〜ザレ場〜大日如来
16:15 丸沼高原山頂駅

(帰りに吹割の滝、温泉施設「花咲の湯」に立ち寄り)





丸沼高原登山口付近の看板。山頂までは3.4km(昨年6月撮影) 
山頂駅登山口付近の看板。山頂までは3.4km(昨年6月撮影)

日光二荒山神社の別院 
日光二荒山神社の別院。裏手にはまだ残雪があった(昨年6月撮影)


日光白根山山頂が模られた鹿よけの門とネット 
鹿よけの門とネット。門には鹿と日光白根山山頂が模られている


2014年5月24日。
本当は友人の山ガールSさんがその名前だけで惹かれたという「皇海山(すかいさん)」でアイゼンデビューする予定だったのだが、前々回の記事(皇海山に登るつもりだった 〜Three Cheers For Our Side)の通り、いろいろあって行き先を急遽日光白根山に変更した。

それでは人生初の積雪期ピークハントレコをお届けします。

皇海山を諦めて丸沼高原へ進路変更


眩くて神々しい日光白根山山頂の山体がお出迎え 

午前7時ごろ。
皇海山を目指していた我々は登山口の皇海橋へ至る道中、凸凹道とおじさんたちに行く手を阻まれ、進路変更を余儀なくされた。

8時52分。
紆余曲折をへて丸沼高原ロープウェイ(この日が運行初日)に乗り、登山口のある日光白根山山頂駅ロックガーデンに到着した。

一度見たら忘れられない特徴的な山体が、我ら迷える子羊三人をお出迎えしてくれた。
その姿は相変わらず眩くて神々しい。思わずため息が出てしまう。
残念ながらロックガーデンに花はまったく咲いていなかった。 


今年は「災害」といってもいいほどの積雪があり(関連記事→群馬県の大雪関連情報・被災助成金・見舞金等について)融雪がいつもの年より遅れているようで、登山道のほとんどは雪に覆われている状態だった。
山麓、山頂駅でも「アイゼン必須です」と注意書きの貼り紙がしてあった。


燧ヶ岳の柴安嵓と俎嵓の双耳峰。通称しばちゃんまなちゃん 

9時23分、史跡散策コースの途上にて。
振り返ると燧ヶ岳(ひうちがたけ)の柴安嵓(しばやすぐら)と俎嵓(まないたぐら)の双耳峰が見えた。
名前が覚えにくいということで、Yさんは燧ヶ岳に「シバちゃんとマナちゃん」というアダ名をつけていた。
同じく双耳峰の谷川岳ならば「オキちゃん&トマぴょん」とかのアダ名がよさそうだ。

谷川岳関連記事 → 谷川岳・天神尾根ルート初心者登山レコ+宝川温泉での珍事件

 

 ■シリーズ尾瀬ヶ原・尾瀬沼・尾瀬登山




初アイゼン!の前に調整と装着の練習を

9時半ごろ。
登山道が完全に雪道となってきたのでついにアイゼンを装着。
Yさんだけはピッケル一本で踏ん張る。

マイアイゼンはモンベルが事業継承したという梶田さんのカジタックス製10本爪。
事前にジョイントの長さを調整し、オレンジ色のテープバンドもちょうどよい長さに切り、ライターでほつれ止めの処理もして完璧に仕上げてきた。
室内で二回ほど履く練習をしたので、意外にすんなりと装着することができた。
事前の準備と日頃の訓練はとても重要である。


梶田さんのカジタックス製アイゼン10本爪を装着
撮影、Sさん


最初は少しだけ重く感じたが、あっという間に歩行にも慣れた。
クロムモリブデン鋼という軽量かつ丈夫な素材のおかげだと思う。
尖った爪でサクサクと雪を踏みしめる感覚がとても心地良い。
たまに爪をスパッツや登山靴に引っ掛けたりもしたが、それほど大事には至らなかった。


アイゼンケース?クランポンケース?

アイゼンの入れ物は100円ショップで買ったお弁当を入れるトートバッグで代用したものの、登山中アイゼンケースの必要性を痛感した。
帰宅後「アイゼン ケース」で検索すると、「クランポンケース」という名称の方が一般的だということがわかった。
アイゼンの場合は、「アイゼン>クランポン」なのに、ケースだと「クランポンケース>アイゼンケース」 とクランポン圧勝となる。
登山用語は奥が深い…


山ガール、アイゼンのバンドが緩んで脱げそうになるの巻 
Sさん、アイゼンのバンドが緩んで脱げそうになるの巻。
だから言っただろう。事前の準備と訓練(ry


踏み抜くたびに「ゲイター」の必要性を痛感


雪に埋もれる10番地点の看板

史跡散策コースの10番地点にて。
通常は目線の少し下に位置するはずの道しるべが、雪に埋もれかかって足元に見えていた。

アイスバーン化していなかったので、たまにすべりはするものの、アイゼン初心者でものぼりやすい状態だった。
だが雪質はシャーベットというよりかき氷に近く、脆くくずれやすいので踏み抜きの危険性がかなり高かった。
迷える子羊たちは登山中何度もヒザ下まで踏み抜いた。
登山道には積雪2mぐらいの地点が多数あり、誰かが1m以上踏み抜いた形跡が所々にあり、それを見つけるたびに血の気が引いた。

また「ゲイター(スパッツ)持参」という概念がなかった私と、ゲイターを忘れてきてしまったSさんは、踏み抜きで散々な目に遭った。
踏み抜くたびに靴の間に雪が侵入し、取り除いても取り除いても次々に靴の中に雪が入ってくるのだ。

初夏のような5月の陽気の中でも、雪は雪。
靴の間に侵入してきた雪は想像以上に冷たく、下手したら凍傷になるのではないかというくらいに足首は冷え、下山する頃には靴の中はびっちょびちょのグッチャグチャだった。
今まで雨の日の登山でもここまでひどい状態になったことはなかったと思う。
「積雪期の登山にはアイゼンと同じぐらいゲイターが必要!」ということを心の底から痛感した。

なので翌週すぐにノースフェイスのロングゲイターを購入した。
これで雨の日の登山だって安心さ。



サングラスも忘れる


地蔵の姿がよく見えない 
9時53分 六地蔵前


目印の一つである六地蔵は、逆光と雪の反射が眩しく、ほとんど地蔵の姿が見えなかった。
何を隠そう私とSさんはゲイターだけでなく、雪山登山の必需品の一つであるサングラスを忘れたのだ。
というかちゃんとしたサングラスはいまだに持っていない。
夏山ではどうしているかというと、いつもPCメガネをかけて登っている。
いい加減、登山専用のサングラスも買った方がいいのだろうが、どうも気に入ったものが見つからなくて今日に至る。

それから見どころの一つである「血の池地獄」は一帯がゴッソリ雪に埋まっていたので、写真にはおさめなかった。
血の池地獄の上を渡るとき、踏み抜くと地獄に落ちる気がしたので、どこよりも早いスピードで突っ切った。


荒れる避難小屋でカップラーメンリフィル暴発


七色平避難小屋 
避難小屋到着


11時ちょうどに鬱蒼とした七色平避難小屋に到着。
銀世界の外とのギャップがすごいので暗闇になかなか目が慣れなかった。
慣れてくると小屋内部の落書きがすごいことがわかった。


七色平避難小屋内の落書き 
日立?


ここで早めの昼食を取る。
この日初めてリフィルタイプのカップラーメンを持参した。
しかし入れ方がよくわからず、リフィルを軽く暴発させてしまい、自慢のジェットボイルがカップラーメンの粉まみれになりテンションだだ下がりとなった。
事前の準備と日頃の訓練はとても重要である。

ピークハントを諦めた因縁のあの場所へ


弥陀ヶ池(みだがいけ)前 
左に行くと座禅山、右に行くと白根山

12時28分。
ピークハントを諦めたあの日のあの場所、座禅山への分岐点・弥陀ヶ池(みだがいけ)前へ到着。
あの日のこの一帯はガスの中だった。

日光白根山でピークハントをやめた日、鴨南蛮そばがやけにしみる


左のストックが壊れた 
撮影、Sさん。左のストックが右よりかなり短いのは、遠近法ではなく途中で壊れたからだ


14時ジャストに山頂へ

頂上が近づいてくるにつれて雪解け水の流れが徐々に強まってきた。
適当な場所でアイゼンを脱ぐと、足が異様に軽くなったような感じがした。
しばらく登るとまた雪渓が出現したが、アイゼン無しでなんとか踏ん張った。

岩稜地帯が続き、回りこむようにして抜けないと危険な岩場を慎重にすり抜けると、そこには絶景が広がっていた。
山頂に到着したのだ。

時刻は午後2時ちょうど。
360度の大パノラマを前に、しばしあっけに取られる。
山頂で出会った、百名山中五十名山を踏破したという若いソロの男性にお願いして、記念の一枚を撮影した。

右奥が男体山、左下にはエメラルドブルーの五色沼 
右奥の形の良い山は男体山。左下の氷解しかけたエメラルドブルーの湖は五色沼。


男体山の右奥に見えるのは外周25メートルの中禅寺湖 
男体山の右方向に見えるのは外周およそ25kmの中禅寺湖。変なポーズをとっているのはYさん 

白根山山頂から見えた大雪渓 

山頂付近は日当たり良好なので雪もすっかり解け、気温は20度近くあった。
下りで通過したザレ場がある白根山ルート方面の直下には大規模な雪渓が広がっていた。

標高2000mの登山口山頂駅から2578mの山頂までは578mの標高差しかない。
しかし今回の山行は積雪で正規ルートから何度も外れてさまよいまくったので、非常に長く感じられた。
我々迷える子羊隊は前々週に往復3時間半の水沢山に登ったのだが、水沢山の登山口と山頂の標高差もだいたい580mと日光白根山とほぼ一緒だったのが信じられなかった。

水沢山レコ → 〆はうどんの水沢山登山レコード
水沢山ダメレコ →  水沢山登山、裏ルート編

下りにて、踏み抜かないコツを掴む

帰りは祠のある山頂を抜け、白根山コースを下りていった。

ロープウェイの最終時刻は16時半。
丸沼高原へはロープウェイを使わなくても下山できるルートがあるということを知らなかったので、最終便に間に合わせるべく、がむしゃらに、必死に下りた。
ショートカットできそうなザレ場や雪の斜面を猛スピードで滑り落ちるように下りる。
足とストックだけだと不安なので、時にはしゃがんでお尻で滑った。
下りも佳境にさしかかると踏み抜き頻度は一気に減少した。

私「このへんの雪、サクサクだけど、シャシャシャシャシャーって小走りで駆け抜けて行くと踏み抜かないよ!」

私は短時間で踏み抜かないコツを身につけた。
人間やればできる。


16時15分。
最終より15分前に山頂駅に到着。
トイレを済まし、山頂駅のお食事処「しらね」でコーラでも、と思ったが店はすでにしまっていて、従業員とおぼしき女性たちがロープウェイに乗り込んでいた。
悔しいので自販機で三ツ矢サイダーを購入した。
気圧のせいなのか、はたまた気のせいなのか、久しぶりの三ツ矢サイダーは炭酸がやけにきつかった。


丸沼高原ロープウェイ記念スタンプ 
丸沼高原ロープウェイ記念スタンプ。今日は見られなかったシラネアオイが咲いている

日光白根山登山記念スタンプ 
日光白根山 登山記念スタンプ

16時半ごろ。
山麓駅で記念スタンプを押し、去年からずっとほしかった登山記念バッジを購入。
登頂しないと登山バッジは買ってはいけない気がするのでずっと我慢していたのだ。

アスパラを食べまくって翌日の尿を確かめる

丸沼高原からの帰り道、行きにも通りかかった「吹割の滝」(別名東洋のナイアガラ)を見に行った。

滝は吹割、片品渓谷 
滝は吹割、片品渓谷(上毛かるたより)


駐車場代を徴収しにどこからともなくやって来るおじさんが非常に印象的だった。
以前片品渓谷に来た時にも同じおじさんに会っている気がする。

吹割の滝散策後は、Yさんが山麓駅で手に入れたパンフレットを頼りに「花咲の湯」を目指した。
周囲に何もない田舎道にポツンとその温泉施設はたたずんでいた。
ピッカピカの新しい建物がぽつんと一つだけ建っているので、
「なんだこの利権の匂いがプンプンする施設は!」と思ったのは否めない。

施設内のレストランでは翌日曜日にアスパラまつりが開催されると告知していた。
明日のまつりに参加できなくて悔しいので、我々一同は「焼きアスパラ」と「茹でアスパラ」をたらふく食べた。
片品村花咲産の極太のアスパラガスは美味だった。
アスパラギン酸のおかげで登山の疲れも吹き飛び、元気になって帰宅した。

翌朝、TBSラジオの番組「安住紳一郎の日曜天国」の北海道産アスパラプレゼントの回を思い出しながら、おしっこの臭いを確かめた。
安住アナによればアスパラガスを大量に食べた翌日の尿は普段と違う臭いがするらしい。
しかし人によっては違いを全く知覚できない場合もあるとか。
私の場合はとくに変な臭いはしなかった。
よって私は知覚できない側の人間であることがわかった。


日曜天国関連の過去記事→ 幻の洋梨ドゥワイエンヌ・デュ・コミス、我が家へ

Podcasting → 安住紳一郎の日曜天国


以上。


■ほかの日本百名山レコ

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