2015年9月2日水曜日

褒めるのって難しい、悪口はすごく簡単

小説とか映画とか美術作品とかデザインを褒めるのってすごく難しい。
制作者が意図したことや、本人すら自覚がない無意識の意図をくみ取ったりする深い洞察力が必要だし、周辺事情や時代背景とかをある程度わかっていないといけないし、ボキャブラリーが貧相だと説得力に欠けるし、多くの人から共感を得るにはわかりやすく平易な表現でないといけないし、褒める文章を書くのはものすごく骨が折れる。


「野火、すごくよかった!風景と自然の色がよかった!話もよかった!人がたくさん死んでショックだった!あのシーンはハッとなった!最後のシーンは怖かった!なんだかんだで戦争はいけないと思った!!!!」

こんな文章じゃ誰も共感してくれない。
とくに「なんだかんだで」のへんが馬鹿っぽい(でもよく使っちゃいます)。
映画「野火 Fires on the Plain」の感想と深谷シネマについて

それに比べて何かをけなすのは小学生低学年レベルのボキャブラリーでもできるし、褒める文章よりも悪口の方が簡単に他人の共感を得ることができるから楽だ。

「なんか嫌い」「理由は説明できないけどとにかくヤダ」「むかつく」「ダセー」「ハゲ」「っつーかその髪型ねえじゃん」「まじ寒みー」
この程度の言葉でその対象が嫌いな人間の心には十分届くし、褒め文と違ってごく簡単に賛同を得やすい。
(参考リンク:般若 ライムスター宇多丸ディスを発表する)※

悪を成敗する英雄のような気分になれて爽快だから、叩ける対象が見つかると大勢の人が喜んで飛びついて、あまり頭を使わない似たような思考の人間同士がそこで意気投合する。それはそれは楽しいだろう。
何かにマウンティングしてけなしていると、何もしてないのに自分の地位が上がったように錯覚して気分もよくなれる。さぞ楽しいだろう。


でも悪口は劇薬だ。
一度その楽しさ、楽さに味をしめると薬物依存性のように後戻りが難しくなる。気をつけよう。



※いやいや違うんだ、私はライムスター宇多丸さんの悪口が書きたかったんじゃないんだ。ファンなんです本当に。ほぼ毎週ウィークエンドシャッフル聴いてます。あくまで必要があっての引用ですので、勘違いしないでください!!

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