カレンダー通りの生活をもう何年も送っていない、悲しきパートタイマー兼フリーランサーなので、ゴールデンウィークは仕事したり、こんな本を読んでいました。
随分前から話題になっている「イスラーム国の衝撃」という新書です。
GWで浮かれた世間とは距離を置き、鬱々と社会問題を取り上げた本を読みふけるこの感じ、我ながら嫌いじゃないんです。イスラーム国の衝撃 (文春新書) [Kindle版]
日本人人質事件が起きる少し前から日本でも注目されつつあったISISまたはISILまたは自称「イスラーム国」とはなんなのかをわかりやすく解説し、各所でイスラーム国入門編に適していると絶賛されている書籍です。
- イスラーム国の変遷
- グローバル・ジハードとは
- 中東諸国で起きた民主化運動「アラブの春」とは
- イスラーム国のメディア戦略
- イスラム教の終末論とイスラーム国の関係
- 中東秩序の歴史と未来
このあたりのことが詳しく書かれています。
イスラーム国が台頭する理由の一つである中東諸国の民主化運動「アラブの春」がおこった際には、勝手に「よかったじゃん」「自由化バンザイ!」なんてのんきに思っていたりもしました。
ただ長期にわたる独裁政権が打ち倒されたあと、対抗勢力に政治的統治力が乏しかったことが政情不安をまねき、結果イスラーム国に代表されるイスラム過激派が勢力を延ばすきっかけにもなったわけです。
どうしようもないと思っている政権が、かつては魅力的に見えた野党にうつっても、あまり芳しい結果にならない悲しい事実は、短期政権中心の日本人にとっても少し身近に感じられる問題です。
イスラーム国については、メディア戦略の秀逸さなどが多く語られてきました。
あの処刑映像の演出戦術についても本では詳しく書かれています。
メディア戦術にかんする項目を読んでいる最中は、あのことを思い起こさずにはいられないので、振り返るにはまだ早かったかな、という気がしないでもありませんでした。
またこの↑の当時は「イスラーム国は“世界の警察”アメリカの悪事が生んだ中東のゆがみの象徴」みたいな考え方だったのですが、本を読んでから、かなり乱暴なまとめ方だったのだと反省もしました。
極端にいえば、世界情勢における悪はだいたい親ブッシュ子ブッシュオバマが発端じゃね?ぐらいにいつも考えている人間なので、いい加減安易な反米感情は捨てないとダメだなと思った次第です。
中東問題やテロリズムに関する予備知識として、読んでおいて損はない良書です。
愉快なGW中に読むのには適していませんが、おすすめです。
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