2013年6月9日日曜日

もぐらじゃないとやってられないよ 〜土合駅を一人占めした日


地底世界への入口 土合駅
地底世界への入口。出口は見えない。


一日一度は「誰もいない静かな場所に行きたい」と思う。

中途半端にわずらわしい郊外の町を離れ孤独を追い求めた私は、いくつかの湯けむりをかき分けて、ある理想郷にたどり着いた。
「土合駅」という名のパラダイスに。




「魚じゃないとやってられないよ」と言ったのはボ・ガンボスだが、今の私は
「もぐらじゃないとやってられないよ」
という気分なのだ。

孤独なもぐらになるのに土合駅はピッタリの場所だ。

(余談)
Sakana Gokko - Single - THE BEACHES

↑THE BEACHESがカバーした「魚ごっこ」。
 「THE BEACHES」のヒサシ the KIDさんには気仙沼出身の友人たちが主催する復興イベントに何度か出演してもらっているそうだ。

[The Third Party 3.0] 渋谷から気仙沼へ (ヒサシ the KID出演イベント情報)
知らない街にひとりぼっち@気仙沼


(余談終わり)

ようこそ土合駅へ
ようこそ土合駅へ

と、適当な能書きを書いたが「孤独を追い求めに土合駅に行った」というのはあとづけで、この日、本当は谷川岳の雪渓を見に行く予定だった。
朝は曇りで午後には一瞬晴れるという予想だったのだが、結局雨は止まなかった。

地底から地上を見上げる。ここは黄泉の国ではないから振り返り放題だ


ならば天気に一切左右されない、あの憧れの場所に行こう。
そう思って土合駅に車を停めたのだった。


土合駅の駅舎を見るのはこの一年で4回目になる。
一番この駅舎に近づいたのは2回目の谷川岳登山の時だった。
下山後に山のリーダー・鬼軍曹と写真を撮りに訪れた時だ。

土合駅駅舎の屋根の裏
あの独特な形をした駅舎の屋根の裏側


軍曹は中に入りたそうにしていたが、登山初心者の私の膝はガクガクのボロボロで、地底に潜る気力・体力はびた一文残っていなかった。
今日はこのへんで勘弁してくださいと泣きを入れ、あの日は事なきを得たのだった。

>> 谷川岳登山(天神尾根ルート)初心者レコ・オキとトマの耳二つ+宝川温泉での出来事


どあい
あの日の「どあい」駅


地底世界の入口にはベンチがある

この入口付近に足を踏み入れた瞬間、そしてプラットフォームにたどり着いた瞬間、全身鳥肌が立ってしまった。
想像していた3倍は深くて、広くて、静かで、暗かったからだ。
しかもこの地底世界には今、自分の他には誰もいない。
これがまた興奮に拍車を掛けた。



土合駅下りのプラットフォーム
土合駅下りのプラットフォーム。ここがゴール地点だ。

ようこそ「日本一のモグラ駅」へ の看板

462段の階段を下る最中、何度も足を止め、地上を振り返っては写真を撮った。
地底から地上の光を探すとき、まるで黄泉の国で振り返ることを禁じられたイザナギノミコトになったような気分だった。
だがここは黄泉の国ではないので振り返り放題だ。
(黄泉の国でも、地上の方を振り返るのは別にいいんだっけか?)




一寸先は闇

およそ20分の地底ツアーはここで終了。お疲れさまでした


下りホームと駅舎の連絡通路上から道路を見下ろす

外は雨。湯檜曽川の流れは早い。

工事中の上りホームはいたって普通だ。


4つの無人改札。この土合駅が一番賑わうであろう7月2日の「谷川岳の日」を今か今かと待ち構えているようだ。


待合室。

登山、スキーのオンシーズン土日祝日は混みあいそうだ。

改札の横の通路にある不思議なスポット


孤独にどっぷり浸って地上へ出ると、もぐらの目には優しい、曇り空が私を迎えてくれた。
入れ違いでお爺様お婆様たち団体さんが駅舎になだれ込んできた。
私の孤独は瀬戸際で守られたのだった。

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