2013年6月26日水曜日

静かなる赤城旅 - 小沼・覚満淵・登山鉄道廃線跡・御神水巡り

2013年5月1日。鳥居峠より桐生わたらせ渓谷鉄道方面を望む


梅雨の合間を見計らって、先日の黒檜山・駒ヶ岳登山(黒檜山・駒ヶ岳(赤城山)登山レコード-長七郎山と地蔵ヶ岳は雲の中)で周れなかった赤城の穴場スポットを巡ってきた。

静寂に包まれた小沼(この)、小尾瀬とも呼ばれる覚満淵(かくまんぶち)、約半世紀前に廃線となった赤城登山鉄道ケーブルカー跡地、苔むす山合にひっそりと湧く御神水…
大人向けの静かなる赤城旅のはじまりはじまり。

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静寂に包まれた、大人の小沼(おの)



赤城小沼

2013年6月22日土曜日。
お昼に麓の蕎麦屋「桑風庵なかや本店」に寄ったため、13時ちょうどに小沼に到着。
この日は地元の小学校の生徒たちが遠足にやって来ていた。
桃川、桃瀬、桃井、桃木、の「桃」がつく小学校のどこかだった。
分厚い雲の切れ間から時折青空が覗く。

モーターボートの船着き場や赤城神社などの多くの施設がある大沼と比べると、静かで何もない小沼は「大人の観光スポット」という感じだ。
赤城山レコ-赤城神社・大沼・鳥居峠展望台編
 小沼を周遊する山道まで登って行くと、小学生たちと引率の先生の声が遠くに聞こえ、あとはカナカナカナカナ……とエゾハルゼミ(マツゼミ)の声がするだけだった。

ところどころに立つ道しるべのアルファベット表記には「Konuma(こぬま)」とある。
「小沼」は本来は「おの」と読み、便宜上「こぬま」としているのだとか。
私自身、子どもの頃から「大沼=おおぬま」「小沼=こぬま」で教えられてきたが、最近読んだ雑誌「ランドネ」で、大沼は本来は「おの」と読み、小沼は「この」と読むことを知った口だ。
一体何人の群馬県民がこの事実を知っているのだろうか。



小沼から黒檜山・駒ヶ岳・大沼を望む

小沼周辺の散策路から見えた大沼と赤城山の主峰、黒檜山(奥)と駒ヶ岳(手前)。
黒檜の山頂は雲にすっぽり覆われてしまっている。
山座同定の反対側には、小沼の上空に「富士山」の文字も書かれているが、この日は全く見えず。
この一帯は今は前橋市になっているが、つい4年前までは富士見村という名前だった。
散策路の先には、静寂とエゾハルゼミの声に包まれた「オトギの森」があるらしいが、このあとの予定もあるので今回は見送ることにした。


再び小沼の駐車場に降りると小学生たちは姿を消してしまっていて、小沼一帯はすっかり静かになっていた。
駐車場脇にあった公衆トイレは新しめの綺麗なトイレだったが、便器は水洗ではなくバイオトイレらしい。
「なるべく使わないで」と書いてあり、手洗い場に水道はあったが水は出ないようになっていた。



誰もいない赤城登山鉄道廃線跡地と山合にひっそりと湧く御神水



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鳥居峠まで行くと、赤城山頂駅記念館サントリービア・バーベキューホール(山頂レストハウス)がある。
ここには強風が吹きすさぶ5月1日に一度来たことがある。

建物の左側に回ると、鳥居峠展望台があり、そこから少し下ると赤城登山鉄道ケーブルカーの廃線跡が出現する。
赤城登山鉄道はこの山頂駅と桐生市の利平茶屋駅(現在は公園)を結ぶ路線だが、開業してわずか10年(1957年〜67年)で廃線になってしまったそうだ。



御神水入口

看板には「御神水入口 300mの石段を降りる」とある。
この「300m」について、家に帰ってから調べてみると、距離ではなく標高差であることがわかった。




13時55分。
ケーブルカー廃線跡を降り始める。
右に見えるのは御神水を運ぶためのトロッコだろうか。
ここを降り始める時には見物人が何人かいたが、誰もついて来ないようだった。
後ろから「あの人、勇気あるね〜」という声がした。
そんな声がかかるほどに、確かに石段は急峻で、当初は身の危険を感じずにはいられないほど怖かった。



13時57分。
石段のある場所に降りるため、左に写っている手すりのようなレールを掴むと、機械油が手にべっとりついてしまった。
手すりとしては不適格だ。
このレールはケーブルカーに関するものではなく、あとから作られた御神水を運ぶためのトロッコレールらしい。
しかしこのレール、御神水の手前で大きく曲がっていて、実際使い物になっているのかはよくわからなかった。



14時4分。
御神水よりまだ手前の地点。
この辺りでレールは大きく曲がり、途切れてしまっていた。
先の大震災でこういう形になってしまったのだろうか。




14時8分。
急勾配の石段をほとんどノンストップで13分ほど降り、ようやく「御神水」を示す矢印を発見した。
この矢印の少し手前に「利平茶屋1.2km」という道しるべがあった。
矢印の先は鬱蒼とした森で、周囲に響く音はエゾハルゼミの声だけだった。




廃線跡を曲がると右側に鉄棒でしつらえた階段がお目見えする。
膝の状態がガクガクなため、少し緊張気味に鉄棒の階段を慎重に降り、苔むした岩場を抜けて御神水へと向かう。



14時11分。
御神水の水場を発見。
先客もなく、たった一人で御神水を独占する。




二筋の御神水。
いろんな人のブログを見ると「御神水」の看板以外に、以前は「美人の水」「智慧の水」などがかかっていたらしい。
なぜそれらの看板を揚げるのをやめたのかはわからずじまいだった。



御神水で水分補給を終え、先ほど来た道を登る。
14時22分。
石段の間にはぽっかり穴が開いた箇所がいくつかある。



14時25分。
石段がやけにガタついた箇所。



14時30分。
ようやく峠のレストハウスにたどり着いた。
下りは一気に駆け下りたが、登りは息切れがして大変だったので、石段の上で何度か足を止めて息を整えた。
途中休憩できる場所は一切ない。
土曜の昼下がりだったが、遠雷が聞こえるような天候だったせいか、途中誰にも行き会うことはなかった。

御神水めぐりの一人旅。タイムラップは35分だった。

家に着いてからネットで調べてみた結果、御神水へはレストハウス左側裏手からこの急峻な石段を下るほかに、レストハウス右側の裏手から下る別の登山ルートでも行けることを知った。
そうと知っていれば……


小尾瀬の呼び声も高い覚満淵(かくまんぶち)で鴨と行き会う



覚満淵の水辺

次は小尾瀬とも呼ばれる湿地帯「覚満淵」へ。
一周およそ30分ほどで周れるので、地蔵ヶ岳登山とセットで訪れる登山者も多い人気のハイキングコースだ。
鳥居峠から西側を望むと覚満淵を見下ろせるらしいのだが、それには全く気がつかなかった。

環境保全のため、木道から覚満淵の水辺に降りることは禁止されている。
先ほどの登山鉄道廃線跡地とは打って変わって、大勢のハイカーや散歩する人々が入れ替わり立ち替わり訪れていた。


覚満淵の鴨二匹

木道の真下に鴨が二匹戯れていたのでズームでパチリ。
このあと二匹は仲良く水辺へと繰り出して行った。
この時、鴨に夢中になっていたが、お昼の桑風庵では鴨のつけ汁で蕎麦を食べたことをすっかり忘れていた。


レンゲツツジに囲まれた覚満淵


レンゲツツジに囲まれた覚満淵。
見頃は少し過ぎてしまったようだった。
3月のミズバショウシーズンにもまた訪れてみたいと思った。


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